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昭和歌謡には敗戦の虚脱感まで美化する魔性がある。

戦争の焼け跡に流れた戦後の昭和歌謡・・・ラジオから流れてくる「帰り船」が「雨のオランダ坂」が「夢淡き東京」が「異国の丘」が「懐かしのブルース」が「長崎の鐘」が全てを失った日本人に新たな酸素を吹き込みました。あるアメリカ人将校は「ドレスデンの空爆も日本の空襲も見た。しかし日本人が決定的に違うのは落ち込むどころか、むしろサバサバした様子で新しい生活に向かっていった」。ここに朝鮮戦争を契機に奇跡の復興を果たす日本人の原型があります。

  → 悪夢の時代(満州)  → 白日夢の時代(北海道・美唄)  → 摩天楼の時代(1900年代のアメリカ)
一炊の夢。昭和の部屋
濃密な体験ほど過ぎ去ってみると「夢」だったと感じます。時代の風景も同じです。今では痛々しいほどの風景も、当時は「絵葉書」にするほどの高揚感がありました。時代が流れて情念は風化して透明な痕跡だけが漂っています。人が見ているのは物理的な風景ではなく情感の風景かも知れません。