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「アメリカの東、一面の大西洋に古代の消えた陸地の最後のかけらがある。砕け散る波と雨に洗われ風に吹き曝されても、それは雄雄しく残っている」( ヘンリー・ボストンの著書「The Outermost House」より)Wikipediaとしては珍しく文学的な表現です。そのケープコッドは、ニューヨークのロングアイランドの北方に伸びる連続した列島の一部、ボストンから大きく張り出した半島です。自然科学者がアウターランズと呼ぶ理由は16,000年から20,000年前に堆積した氷河堆石の置き土産・・・氷河が前進と後退を繰り返した結果として至る所に透明で冷たい池や水路、湿地帯や小さな湾が形成されたという訳です。今も大西洋に突き出ている部分は大量の侵食に曝されて数千年のうちに侵食によって半島は消滅するという地質学者もいますが、別の場所では新しい陸地が形成されている。ここは生きている砂の半島なのです。


Dune/砂の半島 Creek/小川の迷宮 Pond/彷徨う池 House/安息の家 Lighthouse/灯台

人が動物の子供に戻る場所
「誰もが子供の頃、海に向かって走り出した記憶がありますね?」

「靴からの開放感なのか砂を噛む指先の感触なのか、サラサラした砂の感触には得体の知れない官能があります。勿論、素足です。足を取られる泥濘と砂地では大違い・・・乾燥感も大きいかも知れませんね」

「昔”砂の女”という映画がありましたね」

「安部公房原作ですね。あれは感触の話ではなく”現代の蟻地獄”から抜けられない・・・やがて自ら順応してゆく人間の怖さを描いたものですが、あの砂のサラサラ感は不気味でしたね」

「”砂の惑星”という映画もありましたね」

「SF映画としてはB級でしたが、面白いのは未来の惑星での”水”を巡る争い。”砂漠と水”の関係はイスラム世界を暗示しているようです。水から見ると砂は恐怖の対象かも」

「文化の原点なんてそんなもんですかね?」

「まあ資源・気候を含めた”風土”でしょうね。最近”地政学”が息を吹き返していますが最後は”デジタル空間”ではなく物理的な”場所”がモノを言う時代に戻るでしょうね」

「人類は同じことを繰り返しているのかも」