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ケープコッドに別荘を持つことはアメリカの富裕層の憧れ・・・特に第35代合衆国大統領ジョン F. ケネディの別荘がある「Hyannis」は日本の「高級別荘地」が恥ずかしくなるような邸宅が並んでいます。しかも高台から大西洋を見渡して佇んでいる様は映画のよう。家がこれほど物語性を帯びている場所はありません。建築家は家をデザインすることはできても物語を作りだすことはできません。それは風土と歴史の役目・・・新大陸を目指したメイフラワーⅡ世号が、最初に上陸した「Province Town」は今もその高揚感の名残に満ちて訪れる人の脳と心を酸素で満たします。


Dune/砂の半島 Creek/小川の迷宮 Pond/彷徨う池 House/安息の家 Lighthouse/灯台

ボストン・エスタブリッシュ

「どう見てもこの子供はエスタブリッシュメントとは程遠いですね」

「ここには故JF・ケネディを始め歴代の大統領や財閥の別荘地が多い。ある意味エスタブリッシュメントと呼ばれる人ほど好奇心や想像力に富んだ人かも知れません。ボストン・スタイルと呼ばれる風格のある建物がそれを物語っています」

「そう言えばアメリカ映画でもお金持ちが登場する場面ではこんな建物が登場しますよね?」

「大金持ちは城を作ります。しかし知的な上流階級は”成り上がり感覚”を嫌って、さりげなく、しかし格調のあるデザインを好みます。ケープコッドはイギリスからの清教徒が自由を求めて最初に上陸した場所。切り妻屋根の質実剛健なシンメトリーデザインが特長です」

「確かに派手な要素はありませんね。でも不動産価格は上がっていると聞きましたが」

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「映画や小説の舞台になると不動産価格が上がるという図式は世界共通。マサチューセッツもカルフォルニアに次いで人気のあるエリアですから値上り率は全米18位。それでも絶対額は東京都心に比べれば安い。地価の違いです。例えば上のボストンの中古物件は$100,000(約1200万)。平均的な住宅です。ただ映画の舞台になるような物件は希少で簡単には入手不可。数億円はしますよ」

「外国人には無理ということですか?」

「それ以前に厄介なのは不動産価値を決めるのは地域の”格”。判りやすく言えば”人種。”白人以外が混じると価値が下がるという現実。更に金に物を言わせて不動産を買い叩くような連中も拒絶されます。昔の日本人と今の中国人とかね」

「日本では理解しがたい話ですね」

「ある意味”格式”とは”排他性”の裏返し。異質なものを嫌う本能かも知れません。住むなら近所付き合いが不要な砂丘の外れの小さな小屋が一番。維持は大変ですがそれを上回る覚醒と陶酔があります。うっとり探偵団の次の海外基地もフィレンツェの後はケープコッドを予定しています」