陶酔 / Academia

陶酔と覚醒。夢と希望と空想がこの広場に集い、この広場から旅立ちます。
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原風景「夢の広場」  うっとり探偵団「アカデ ミアサロン」 Academia Salon by Uttori Tanteidan  


神の祝福のような後光が降り注ぐバチカンのサンピエトロ広場。この広場には「神の仕掛け」があります。この世界で最も有名な広場は1656年から67年にかけて、バロック芸術の巨匠「ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ」の設計により建設。広場は幅240メートルもの巨大な楕円形で30万人も収容できます。広場を取り囲んでいるのは4列に並べられた合計372本の石柱で、柱の上には140体もの歴代皇帝や聖人像が広場に集まった人々を見守る・・・しかしこの広場には別の顔があります。「うっとり探偵団」が広場に潜む妖しを探検します。

バチカンの「もう一つの顔」が有名になったのは何といってもバチカンとローマを舞台にした映画「天使と悪魔」。秘密結社イルミナティの殺人者を阻止するため主人公ラングドンが町を駆け巡る・・・サスペンスと観光が融合した傑作ですが、14世記から16世紀の人物であるガリレオやミケランジェロやラファエッロが17世紀に創設されているイルミナティのメンバーである筈はなく、話は虚構です。又、原作の発表順は「天使と悪魔」→「ダ・ヴィンチ・コード」の順ですが、映画の製作順は「ダ・ヴィンチ・コード」の方が早かったため映画は物語の進行順が逆転しています。そんな「虚構」も「位相」もベルニーニが仕掛けた罠に比べれば可愛いものです。

ベルニーニは古代ローマの闘技場が生み出した狂気と興奮にヒントを得て、サン・ピエトロ広場を巨大な劇場空間=魔性の広場として設計しました。まずは大きく腕を広げた人体に重ねて大聖堂と広場のデザイン。彼は世界中から救いを求めてサン・ピエトロ広場に集まる信者たちに、より大きな感動を与えようと、ローマの町に仕掛けを施します。広場に向かう信者たちが渡るサンタンジェロ橋に足を踏み入れると、ベルニーニが配した10体の天使が彼らを迎えます。信者たちはこの橋を渡りながら、キリストの受難と自らの苦しみを擬似体験しながら聖なる広場へと向かう。受難の道を真っ直ぐ進んでいくと、そこには巨大な楕円形の広場が待っており、長い旅路の果てに辿りついた信者たちを出迎える。「ようやく神の御許に辿り着いた」・・・苦難が陶酔に変わる壮大な仕掛けです。

最後の仕掛けと暗示はサン・ピエトロ広場の柱。視界を遮るように並んでいる柱が、特定の場所に差しかかるとピッタリ重なって突然、視界が晴れて広場の外が「神の風景」のように見えます。4列に並ぶ柱はある場所(ベルニーニ・ポイント)を中心に放射状に立てられているからです。そこは訪れた信者にとっては「閉じられた空間=守られた空間」でありながら、同時に世界中にいるまだ訪れていない信者たちには「救いをもたらす場」であると感じさせる。天才的な空間デザインです。しかし「魔性」はその先にあります。実は広場は子宮の象徴で、中心にそびえるオベリスク(塔)は男の象徴。時が来ればこの二人が出会い、太陽の息子である「ホルス」が誕生する・・・そんなバビロン伝説が潜んでいます。旧約聖書に登場するバベルの塔は、人間が石の代わりに煉瓦を造り始め、漆喰の代わりにアスファルトを発明して、今までにない高い塔を作れるようになった。神はそんな人間の思い上がりへの戒めのため天罰を下した。文明=都市を退廃の象徴と見做したのです。とするとこの広場は祝福と同時に戒めの空間でもある・・・この二重性こそが広場の魔性です。本当は「科学文明が神を不要とするかも知れない」と恐れた神が先手を打ったのかも知れませんが、恐れは現実になりつつあります。「IT」が「神」に取って代わる可能性があるからです。こんなテーマで「アカデミアサロン」が日常で麻痺した細胞を酸素で満たします。ご参加お待ちしています。