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夢の跡。夢の果て。澄んだ大空に透明な寂寥感が広がる。

日本が大陸と太平洋で戦争の泥沼に嵌っている頃、北海道の空は澄んでいました。開拓の空気を色濃く残す北海道の田舎は、内地の景気とも米軍の爆撃からも無縁で(工場都市部は爆撃)、古老が語る「あの戦争もどこか遠い世界の出来事だった」というのが実感でした。そこはかって日本の近代化を支えた炭鉱の夢の跡・・・今は透明な寂寥感だけが流れます。もう一つの透明感は夢の果て・・・人々が希望と欲望に憑かれて魔都アメリカに渡った20世紀初頭。人間が一番元気だった時代でもあり、人間が一番貪婪だった時代でもあります。超精密な写真に夢の残照が漂います。

 遠い日の戦争。悪夢と白日夢の痕跡
強烈な体験をしてトラウマになる人もいれば「あれは夢の出来事だった」と記憶を変質できる人もいます。脳にはダーメージを和らげ目の前の現実に立ち向かう本能があります。色や階調を削ぎ落とした夢の跡・夢の果ての白黒写真には脳を覚醒させる悪夢と白日夢の痕跡が漂います。