遠い風景。透明な寂寥感が流れる
近代化の象徴だった電車が行き交う街並み・・・過ぎ去ってみれば透明な寂寥感が漂う「遠い風景」です。第二次大戦の爆撃で崩れ落ちたレンガを持ち寄って、再び戦前の街並みを再現したドレスデン市民のような思い入れは日本人にはありません。天災や災害と背中合わせの日本人にとって街並みは仮の姿、目先の「生活の風景」にすぎません。街並みが心の支えになっている欧州の「人生の風景」とは違います。日本人にとって街並みは執着の対象ではなく、流れる雲と同じ「心象風景」なのかも知れません。そんな昭和の残像です。