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台地に立って目線を左からぐるりと回せば、東京湾、浦賀水道、房総半島、真ん中に遥か太平洋、そして右に相模灘や遠く伊豆半島・大島が一望できる・・・ここから不思議が始まります。見晴らしがいいということは、遮るものがないということ・・・・首都圏にありながら台地にはマンションも工場もなく、一面の畑には電波塔や送電塔、灯台や風力発電塔が立っているだけです。まるで風景が「さあ、みなさん!この日本有数の景観を見てやって下さい!」と威張っているかのよう。 ところが・・・

主要道路134号線しか走らない行楽客はこの景観を知りません。理由は簡単、沿道の住宅が「そう簡単には見せてやんないぞ」とばかり立ち塞がっているからです。よってそこから脇道に入らなければこの風景を見ることは出来ません。勿論、看板も案内標識もなく、それは地元がこの景観を観光資源としてみていないか、「愚衆」の振る舞いを知っているからでしょう。これこそ「うっとり探偵団」の思う壺・・・誰もいない農道の傍らに邪魔にならないよう赤バイクを止めて、心行くまで空いっぱいに繰り広げられる光と雲と風のドラマを堪能する・・・住んでいる人間が味わえる至福です。
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三浦半島が「影」に事欠かないのには理由があります。台地が多いということは、そこにある建物や物体は下から見上げる位置にあるので日没で浮かび上がる「影効果」はひと際目立つ訳です。だけでなく、畑の中に旧日本軍の遺構があって、昼間は目立たなくても日没時には異様な形を浮かび上がらせて探偵団を興奮させます。
tou_top 原風景アカデミア「台地」

「三浦半島の不思議って何です?」

「素晴らしい謎(妖し)があるのに、誰も気づかないという謎です。三浦半島は上空からみれば複雑な海岸線と、所々に散在する戦争遺構や廃墟が”妖しの景観”を作り出しているのに、車からは見えない」

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「なぜ気づかないんですか?」

「台地の宿命というか台地を走る道路からは崖が見えません。この崖(淵)にうっとりが集中しているのにね。尤も普通の人にとっては観光的な風景ではなく、感受性の豊かな人だけに判る”原風景”です。よって地元でも景観資産とは考えてないんでしょう」

「本当はもっと大きな理由があるのでは?」

「鋭いな明智君!ここは東京から僅か車で2時間の場所に存在する”非日常風景”ですが、その”妖艶な非日常”が現れるのは日没・・・つまり観光客が帰路につく時間帯なんです。だから”荒らされない”んです」

「今の行政の地域活性化とは反対ですね?」

「観光客だけを集めようという発想はもう古い。荒らされた”白川郷”がいい例です。判る人だけがひっそりと訪れる。そして風景の”うっとり度”が上がる。それが新しい原風景資産となって新しい展開が開ける。そうなれば文化メディアがフォローしますよ」

「例えばどんな展開なんです?」

「アメリカはマサチューセッツ州に”ケープコッド”という半島があります。映画”白鯨”の舞台にもなった場所ですがこの砂と池の半島には、感受性豊かな人にとっては”こんな場所で子供時代を過ごしたかった”と思わせる官能に満ちた景観があります。もし三浦半島を”日本のケープコッド”と捉えたら面白い展開になりますよ。→ こちらからもそのCape Codの官能的な景観を見れます 」

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「元大統領や作家の別荘はありますがミーハーは皆無です。ボストン・エスタブリッシュというやつですが日本もそろそろこうした知的風景を目指すべきです。研究すれば刺激的な景観対象になりますよ」

「あわよくば”姉妹半島”なんてね・・・」